病気予防のカギは中強度運動!『8000歩+20分の法則』とは

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歩き方と健脚寿命

通常は、意識することなく行っている『歩く』という行為。しかし、普段から行っている何気ない《歩き方》ですが、これを少し間違えてしまうと、病気のリスクが増してしまい、将来的に歩けなくなってしまうことにも繋がるんです。

たかが歩き方一つで――です。

今や老若男女を問わず、健康のためや病気予防のために日々ウォーキングを欠かさず行っている人も少なくありません。

しかし、悪い歩き方をしていると、健康のために行っているウォーキングも、自ら脚の寿命(健脚寿命)を縮めたり、身体の歪みを助長させていることになるのです。

一生懸命やっている健康法が、実は健脚寿命を縮めている――。

将来、寝たきりにならず『死ぬまで自分の2本の足で歩く』という、ごくごく自然な願いを実現するためにも『正しい歩き方』と『正しい運動量』を認識して頂きたいと思います。

 

『8000歩+20分の法則』は免疫力を高めるカギ

今では『健康のために毎日の運動を心がけましょう』というアナウンスが、当たり前のように流れています。

たしかに、毎日の適度な運動というのは大事なことなのですが、危険なのが『運動するほど健康になる』という間違った思い込みなんです。その代表的な思い込みが1日1万歩のウォーキングです。

つまり『ウォーキングは歩数が多ければ多いほど良い』といった部分が思い込みとなっています。

毎日のウォーキングが健康増進や病気予防に効果的なのは確かなのですが、本当に効果的なのは8000歩+20分の法則を守ることです。

ウォーキングに中強度活動時間をプラスする

結論から言うと、1日8000歩以上歩いても、健康増進・病気予防といった面でほとんど意味がありません。

肥満解消といった意味では、歩数は多いほど効果があるのですが、とくに体型に問題のない人というのは、歩数は8000歩を目安にプラスαとして中強度活動時間を意識しましょう。

中強度活動時間というのは、ウォーキングで言えば『早歩きをする時間』になります。

身体活動の強度を意識して運動する

健康科学では、身体活動の強度を《低強度》《中強度》《高強度》の3段階に分けて考えます。

たとえば、ウォーキング一つとってみても、ダラダラと歩く低強度な運動を続けても全く意味がありません。一方で、ジョギングのように高強度な運動も、身体にダメージを与えてしまう結果になります。

よく言われる適度な運動というのは、疲れを残さないほどほどと思えるような中強度の運動のことを指しています。

『歩数+中強度運動と』予防できる主な病気

中強度の運動を毎日行うことで、新陳代謝が活発になり心肺機能が向上します。

歩数+中強度運動の黄金律かながわ健康長寿ナビサイト》より画像を引用

さらに、体温も上昇するので免疫機能も高まり、自律神経の働きや血行が良くなるので、様々な病気を予防する効果が期待できるんです。その関係をまとめたものが上記のグラフとなります。

ではもう少し具体的に、1日の歩数に対してどのくらい中強度運動を行えば良いかを、以下に『歩数+運動量別』にまとめてみたいと思います。

①1日10000歩+中強度活動時間30分以上

メタボリックシンドロームの予防や改善に効果が期待できる歩数と運動量です。

約30分の中強度運動(早歩き)を行うことで、余分な脂肪を燃やすことができます。ただし、疲れが残ったり膝や腰に痛みが出るようであれば、ペースを落として無理のない範囲で行うようにして下さい。

②1日8000歩+中強度活動時間20分以上

高血圧症や糖尿病の予防に効果が期待できます。

1日の運動量では、この『8000歩+20分』が病気予防として最も最適であり、この歩数と中強度活動時間が健康長寿の黄金律と呼ばれています。ウォーキングをするなら、これを目安に毎日続けるようにしましょう。

③1日7000歩+中強度活動時間15分以上

がん・動脈硬化・骨粗鬆症などの予防に効果が期待できます。

少し運動不足気味の方であれば、このくらいの歩数と中強度活動時間を目安にすると良いでしょう。いきなり8000歩や10000歩というのは、身体への負担が大きくなってしまうので、徐々に慣らしていくように心がけて下さい。

④1日5000歩+中強度活動時間7.5分以上

脳卒中・心疾患・認知症の予防に効果が期待できます。

かなり運動不足が慢性化している人は、このあたりの歩数と中強度活動時間を目安として始めるようにしましょう。運動量を増やすことを考えず、まずは毎日しっかりと続けることを第一に考えて下さい。

⑤1日4000歩+中強度活動時間5分以上

うつ病や寝たきりを予防する効果が期待できます。

高齢でかなり筋力も衰えている人は、まず4000歩を目安に始めるようにしましょう。中強度運動も無理をしない範囲で、疲れを残さないペースでの早歩きを心がければ、徐々に筋力がつき運動量も増やしていくことができます。

 

中強度運動の具体例と運動強度の数値

一生歩き続けるための大きなカギとなるのが《中強度の運動》というのは、ここまで何度も述べてきましたが、そもそも、この中強度の運動とは具体的にどの程度の運動量を指すのでしょうか?

そこでここでは、低強度・中強度・高強度の具体例と、その運動強度を表す単位について触れてみたいと思います。

運動強度を表す単位《メッツ(METs)》

運動の強度を数値化して表す単位がメッツです。

  • 1メッツ:寝転がって安静にしている状態での酸素消費量

寝転がっている状態の酸素消費量を基準点として、その何倍のエネルギーを消費しているかを示す運動強度の尺度と理解して下さい。

◆ 低強度運動

運動強度は1メッツ~2メッツ。

軽い家事や散歩、ゲートボールなどが低強度の運動量になります。

◆ 中強度運動

運動強度は3メッツ~5メッツ。

やや重い家事・早歩き・山歩きなどが中強度の運動量になります。

◆ 高強度運動

運動強度は6メッツ以上。

テニス・ジョギング・水泳・野球などのハードめのスポーツが高強度の運動量になります。

運動のやりすぎには注意

運動をして身体を動かすことは大切なことですが、やりすぎは逆効果になります。

カート

たとえば、ゴルフをする場合、18ホールを手引きカートで全て歩いてプレイすると、運動量が多すぎて心筋梗塞や動脈硬化のリスクが増します。できればカートを使って不要な歩きは避けるようにしましょう。

ジョギングなども同じです。

最近では、市民公園や皇居の周囲をジョギングしている人を多く見かけますが、走るよりも早歩きで周るほうが将来的な病気予防に繋がります。

早歩きは姿勢の改善にも繋がる

中強度の『重い家事』とは、お風呂場の掃除などが挙げられますが、もっと手軽に始められる中強度の運動といえば、やはり《早歩き》です。

早歩きをすれば、ある程度の筋力を維持しながら歩行能力の低下を防ぐこともできます。毎日『8000歩+中強度運動20分』を習慣にすれば、基本的には筋トレやジョギングなどのハードな運動は必要ありません。

早歩き

さらに早歩きの利点としては、早歩きをすると自然に背筋が伸びて腕も振ることができます。つまり姿勢を改善することにも役立つんです。

早歩きのコツとしては『会話はできるが歌を歌うのはキツい』といった速度を意識して、歩くスピードを調節することです。

太陽の光を浴びることも重要

1日中家に閉じこもっていた場合、だいたい4000歩程度の歩数になります。

日光を浴びる

この場合、歩数が少ないことも問題なのですが、最も大きな問題は《太陽の光を浴びていない》ことなんです。人は、太陽の光を浴びないと、脳や内臓の働きが鈍ってしまいます。

さらに、認知症・うつ病・骨粗鬆症といった病気を引き起こす原因にもなるので、外出して8000歩を歩くように心がけましょう。

体温が最も高くなる夕方がベスト

人間は、体温が1℃下がると免疫力は37%も低下して病気にかかりやすくなります。しかしその反面、体温が1℃上昇した場合には、免疫力が60%もアップするのです。

◆ 平常時の体温別健康状態

体温と免疫力

体温は、起床時が最も低い状態で、その後ゆっくりと上昇していき、夕方にピークを迎えます。そして、ゆっくりと就寝に向かって下がっていきます。この体温がピークとなる夕方に早歩きをすると、体温が上がるので就寝時の体温も高くすることができるんです。

つまり、夕方に早歩きをすることで、高い免疫力を維持したままで睡眠に入れます。病気に負けない身体を維持するには、夕方に運動することが最も適していることになります。

 

『歩けない』の原因は膝でも腰でもなく股関節

現代は、加齢とともに生じる膝や腰の痛みで『歩きたいのに歩けない』といった状態になってしまう人が非常に増えています。

健康寿命を長くするためには《健脚寿命》を保って、死ぬまで歩ける脚が必要となります。

ご自身の将来は当然のこと、両親や祖父母など、今は元気でも将来的に歩けなくなってしまう可能性は決してゼロではありません。そのリスクを出来る限り減らすカギというのが、実は股関節にあるんです。

股関節を健康に保つことで、加齢による『歩けない』を防ぐことが可能となります。

股関節はあらゆる動作の負担を受け止める要

身体の中で、最も酷使される関節が股関節です。

立つ・座る・歩くといった動作によってかかる負担を、どの関節よりも受け止めているのが股関節なんです。つまりロコモ予防には、股関節を健康に保つことが最も重要となります。

股関節を痛めたり、痛めたままの状態を放置していると、膝や腰などの別の関節に負荷をかけてしまい、腰痛や膝痛を引き起こしてしまいます。

このような場合には、いくら膝や腰の治療をしても痛みが治まらないという事態を招きます。

脚の付け根に痛みを感じたら要注意

股関節は、骨盤の両側にある臼状のくぼみ(臼蓋)に、大腿骨の球状の先端(大腿骨頭)がはまりこんでいる形になっています。

このそれぞれの骨の軟骨が潤滑油の役割を担っているので、立つ・座る・歩くなどの動作がスムーズに行えるのです。この動作の際、脚の付け根に痛みを感じた場合には、とにかく専門医の診察を受けることが大事です。

◆ 変形股関節症の進行

変形股関節症の進行

加齢などで股関節の軟骨がすり減ると、骨同士が接触する形になってしまい、痛みが生じます。この症状を《変形性股関節症》といい、放置していると悪化してしまい、最悪の場合には歩けなくなってしまいます。

脚の付け根付近に少しでも痛みを感じる場合には「別に大したことない」と軽く考えず、整形外科などで受診するようにしましょう。

 

歩き方をチェックすることで股関節を守る

股関節にかかる負荷というのは、立っている状態で体重の0.6倍~1倍程度ですが、これが歩行時となると、体重の3倍~4.5倍にまで増大します。

つまり、股関節を守るためには、正しい歩き方が大きなカギとなるんです。

では『ダメな歩き方』を判断するために、自分の歩き方をチェックする方法について話していきたいと思います。

ダメな歩き方①擦り足歩行

歩く際に、足をしっかり上げて踏み出すことは基本中の基本です。ですが、地面に靴底を擦りながら歩く人は要注意です。

股関節や膝に痛みがあったり、脚の筋力が衰えている高齢者によく見られる歩き方なのですが、最近では、若年層でも擦り足歩行をする人が増えています。靴を履いて歩くときに、ズルズルと足音がする人は非常に危険な兆候だと言えます。

摺り足歩行

擦り足歩行は、脚をしっかりと上げないで歩くうえに、着地の衝撃を脚全体で吸収しないので、筋力はどんどん衰えていきます。

普段歩くときに、ズルズルと足音がする場合には、歩き方を改善するように心がけましょう。

ダメな歩き方②前傾気味の姿勢で歩く

運動不足が慢性化して、腹筋や背筋の筋力が衰えてくると、自分では真っ直ぐに立っているつもりが、実際には前傾気味の姿勢になってきます。

猫背で歩く

この姿勢で歩くと、腰に負担がずっしりとかかり、股関節にも大きな負担を強いることになります。さらに、無駄なエネルギーの消費に繋がり、少し歩いただけでも疲れが溜まりやすい身体になってしまうんです。

とくに、パソコンやスマートフォンを頻繁に使う方は、定期的に姿勢をチェックをすることをお勧めします。

ダメな歩き方③片側の肩が下がり気味

片方の股関節が悪くなり痛みが出てくると、痛みを避けるために偏った重心で歩くようになります。

こうなると、使うのを避けている側の股関節周囲の筋力がどんどん衰えてしまいます。とくに、中殿筋という股関節の外側の筋肉が痩せてくると、バランスをとるために片側の肩だけが下がってしまい、左右どちらかに偏った歩き方になります。

肩の歪み

姿勢の崩れは、肩こりなどの原因にもなるのですが、単に肩こりだけでは済まないのが恐ろしいところなんです。

前述している《変形性股関節症》が進行すると、このような症状が出てくるので、少しでもおかしいと思ったら専門医の診察を受けるようにしましょう。

 

股関節を守る良い歩き方《グッド歩行》とは

前述の『ダメな歩き方』をしていると、たとえば、靴底の減り方が左右で大きく違ってきたりします。

このような状態になると本当に赤信号だと言えるので、専門医の診察を受けることと同時に、自分で意識して良い歩き方を心がけるようにしなければなりません。

良い歩き方と言っても至極シンプルなので、誰にでも簡単にできます。

ただ、すでに姿勢が崩れてしまっている人は、良い歩き方を身体に覚えこませるために、しばらくは意識的に歩く必要があるでしょう。

そこでここでは、良い歩き方《グッド歩行》とはどんな歩き方なのかについて話したいと思います。

正しい歩き方《グッド歩行》とは

グッド歩行の最大のポイントというのは、着地はかかとからを意識することです。

  1. 足のかかとから着地する
  2. 足裏全体を地面につける
  3. 重心を徐々につま先に移動させる

流れ的には上記のような、いたってシンプルな歩行と言えます。

この流れを見て「なんだよ。そんなこと誰でもやってるじゃん」と思う方もいるでしょうが、意外にもこれが出来ていない人というのが急増しているんです。

グッド歩行が股関節に良い根拠

グッド歩行でしっかり歩くと、踏み出しと着地の際の衝撃を、足首や膝の関節でバランス良く吸収できるようになるんです。

さらに、背筋がしっかりと伸びていなければ、かかとから着地することが出来ないので、自然な形で前傾姿勢(猫背)が改善されてきます。

グッド歩行をする際のチェックする点は歩幅です。

グッド歩行の歩幅は、踏み出した足のかかとと、もう片方の足のつま先との間が7cm~8cm程度が理想です。少し歩幅が狭いように思うかもしれませんが、歩幅が大きすぎるとかかとから着地することが出来なくなるんです。

グッド歩行を実践することで、股関節への負担軽減だけではなく、長い距離を歩いても疲れにくくなります。

つまり、いつまでも健康な身体を維持することに繋がる適度な運動量を確保することが出来るんです。

 

まとめ(ウォーキング+中強度運動で健脚寿命を保つ)

医学や科学は日々進歩します。

なので『昨日まで正しいと思っていたことが実は間違いだった』ということは、決して珍しいことではなく、これからもどんどんと新しい情報が更新されていくことでしょう。

とくに、健康や美容の分野での情報は日進月歩で、新たな研究結果が次々に出てきます。

ついこの間まで『健康のために1日10000歩のウォーキング』が当たり前だったのが、すでに、健康のためには『1日8000歩+20分の中強度運動』が正しい情報となっています。

ですが結論として、若年層や高齢者に関わらず、自分や家族が《健康で明るく過ごせる未来》を願っていることに変わりはありません。

この記事で紹介した股関節のケアも同じです。

股関節をケアすることが、様々な疾病を予防することに繋がっていることは事実なので、これを機会に自分やご家族の歩き方をチェックしてみてはいかがでしょうか?

 


 



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